BUNGOYA 美容室+α
「サザエさん家のような美容室にしたい」
これがクライアントである文屋氏から発せられたコンセプトである。
計画地は西東京エリアの武蔵野市。
近くにヤギがいる牧草地もあるような、どこか長閑なエリアにこれから美容室を設計する建物はあった。
まずは、この地域にとっての「サザエさん家のような美容室」とはどのようなものだろうか?を考えた。
そこで機能としての美容室に加えて、友達の家のような空間がそこにあり、近所の人達が何気なく遊びにこれそうな場所が必要では?と考えた。
つまり、小さなコミュニティー拠点としての美容室である。
友達の家のようなその場所は、既存建物の鉄骨造との対比及び素材の温もり感を考慮し、木造小屋が最適と考えた。
店の名前もこのコンセプトに合わせるようにクライントの苗字である「文屋(BUNYA)」と「小屋(KOYA)」の造語でBUNGOYAに決まった。
空間の構成としては、既存鉄骨造の空間に木造小屋をポンと置き、内外部を含め空間を「小屋」と「縁側」とに再定義した。
「小屋」側は待合機能を含む食堂、シャンプースペースをメイン機能としており、
家のような空気感を演出するため小屋組を露出とし、ダイニングテーブル等を設け天井高さを極力抑えている。
加えて小屋内の棚や収納ケースも極力木製にすることで無骨な縁側空間との対比を強く打ち出した。
対して「縁側」はカットスペースとし、既存のがらんどう感を残すために鉄骨躯体剥き出し、前庭から裏庭までの視線を通すことで縁側が町の一部であることを感じ取れるように計画した。本計画はコロナの影響で様々な店舗の先行きが不透明になっていた2020年3月に設計の依頼を受けスタートした計画である。
人との物理的接触をできるだけ減らす生活スタイルが加速していく中、人々にとって本当に必要なリアル空間とは何なのか?
を問われたことを思い出す。
鉄骨空間に木造小屋を挿入し、周辺の外部環境の位置付けを変化させることで、町に新しいスペースを生み出すこと。
BUNGOYAが地域の人々にとって「令和版サザエさん家」のような位置づけになることを願ってやまない。







PROJECT OVERVIEW
物件名 : BUNGOYA
サイト : https://www.bungoyahair.com/
所在地 : 〒180-0022 東京都武蔵野市境二丁目24番21号ハタノハイツ101
用途 : 美容室+α
発注者 : 個人
延床面積 : 50.53平方メートル
設計期間 : 2020年3月1日〜2020年5月1日
工事期間 : 2020年5月1日〜2020年6月15日
設計 : 青木大輔
構造設計 : –
設備設計 : –
外構設計 : 増田量一
施工 : デキマスワークス
VI : 松林至英
写真 : 田村薫